ロシア人はなぜ戦争に疲れてもプーチン政権を支持するのか――モスクワ市民への直接取材から見える「祖国」の論理

戦争には疲れている。しかし、敗北して終わることも望んでいない。9月15日の「朝日新聞」に登場したロシア市民の証言から、現在のロシア社会を支える家族、祖国、戦争記憶の論理を読み解きます。
佐藤優 2026.09.15
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「プーチン支持」だけでは見えないロシア社会

 9月15日の「朝日新聞」デジタル版に興味深い記事が掲載されました。ロシアで9月18~20日に下院選が行われるのを前に、プーチン政権を支持するロシア国民が、「特別軍事作戦」とロシア政府が呼ぶウクライナ侵攻をどのように受け止めているのかについて、モスクワ郊外の「愛国イベント」に参加した市民を直接取材した記事です。登場するのは、軍人の妻で、兵士や家族の支援活動を続けているララ・スルコワさんと、ウクライナで実際に戦闘に参加し、頭部に重傷を負って除隊したイワン・クリモフさんです。

 この記事を高く評価します。現在の日本ではロシア社会を語るとき、「プーチン政権を支持する国民」と「プーチン政権に反対する国民」という二分法がしばしば用いられます。さらに、政権支持者については、「国家宣伝を信じている」「情報統制によって正しい判断ができなくなっている」という説明が加えられます。しかし、4年半以上も戦争が続き、多くの家庭から兵士が送り出され、戦死者や負傷者の存在が日常生活そのものに入り込んでいる社会を、このような単純な図式で理解することはできません。今回の「朝日新聞」の記事の価値は、ロシア人を外側から分類するのではなく、彼ら自身が戦争をどのように経験し、その経験にどのような意味を与えているのかを聞いているところにあります。

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