「民主主義国家の団結」に巻き込まれてはいけない――フィンランド外交から日本が学ぶべきこと

フィンランド外交には日本が学ぶべき知恵があります。しかし、「民主主義国家の団結」をそのまま受け入れてはいけません。価値を守りながら世界を二分せず、自国の地理と歴史から外交を組み立てる。そのリアリズムこそ、日本が学ぶべきものです。
佐藤優 2026.09.16
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フィンランドの言葉を日本の文脈で読む

 フィンランド国防省のヤンネ・クーセラ事務次官が東京都内で「朝日新聞」のインタビューに応じ、日本との防衛協力、ロシア、中国、包括的安全保障、さらにアレクサンデル・ストゥブ大統領が提唱する「価値に基づくリアリズム(Values-Based Realism)」について語りました。クーセラ氏は2026年2月に国防省事務次官に就任した安全保障政策の専門家で、フィンランド政府の包括的安全保障を調整する安全保障委員会の議長も務めています。訪日時の9月10日には東京大学先端科学技術研究センターで、フィンランドの包括的安全保障と日本への示唆について講演しました。

 このインタビューは非常に興味深いものです。なぜなら、フィンランドという国家が現在の世界をどのように見ているかが、かなり率直に表現されているからです。特に私が注目したのは、次の発言です。〈「可能性はあると思う。私たちは民主主義国家が多数派ではない世界で生きている。地理的な距離があっても、民主主義国家は団結し、緊密に協力し合わなければいけない。だからこそNATOや欧州連合(EU)が、日本のような国々と強い関係を築くことは極めて重要だ。我々は考え方や政治的行動において多くの基本的な価値観を共有している」〉(9月15日、「朝日新聞」デジタル版)。この認識がフィンランドの国防当局者から出てくることはよく理解できます。しかし、日本がこの論理にそのまま巻き込まれることには慎重でなくてはなりません。

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