真の神学と偽りの神学――ゲルハルトは何を基準に区分したか

神について語れば、それだけで神学になるのでしょうか。ゲルハルトは真の神学と偽りの神学を区別し、さらに神自身の知と人間に与えられる知を分けました。その区分をたどり、聖書と理性の占める位置を明らかにします。
佐藤優 2026.10.22
読者限定

神についての語りを分ける基準

 ヨハン・ゲルハルト(1582–1637)が「真の神学」(theologia vera)と「偽りの神学」(theologia falsa)を区別したとき、問題となったのは、神について語っているかどうかだけではありません。その語りが真実であるかが問われています。神を論題にしていても、その内容が誤っていれば、厳密な意味での神学とは呼べないのです。ロバート・プロイスの研究によれば、ゲルハルトは偽りの神学を、神についての真実でない言説として扱います。それが「神学」と呼ばれるのは、真の神学と同じ意味ではなく、名称を共有する限りにおいてです(出典:Robert D. Preus, The Theology of Post-Reformation Lutheranism, vol. 1, pp. 112–113、https://www.scribd.com/document/1076005191/The-THEOLOGY-of-POST-REFORMATION-LUTHERANISM-VOL-1-a-Preus-Robert-D-1924-1995-United-Kingdom-Mar-19-1970-Saint-Louis-Concordia-Pub)。

偽りの神学――精密な議論も誤りうる

この記事は無料で続きを読めます

続きは、1506文字あります。

すでに登録された方はこちら

読者限定
1609年の薩摩による琉球侵攻を「琉日戦争」と呼ぶべきか――歴史認識を変える言葉の力と危険性
読者限定
日本共産党は何を立て直そうとしているのか―第9回中央委員会総会と「赤本」「青本」から読む革命政党の現...
誰でも
商業出版では出しにくい本を、読者に直接届けたい――『初学者でもわかる「法の支配」の正体』刊行
読者限定
数学的帰納法はなぜ「帰納法」ではないのか――高校数学と哲学のあいだにある落とし穴
読者限定
北朝鮮の「朝鮮社会民主党」は何を代表するのか――曺晩植から李善権まで
誰でも
ロシアの対日警告を軽く見てはいけない――無人機供給問題で日本政府に迫られる対応
誰でも
北海道新聞記者拘束事件の新局面――FSBはなぜ領事面会を制限しているのか
読者限定
北朝鮮はなぜ日米韓の演習を警戒するのか――朝鮮中央通信論評に見る対日認識と軍備増強の論理