商業出版では出しにくい本を、読者に直接届けたい――『初学者でもわかる「法の支配」の正体』刊行

「法の支配」は誰が支えるのか。赤根智子ICC所長への米国制裁を入り口に、国際法と戦争、日米同盟を考える本を刊行しました。Kindle版は600円、紙版は1000円。ご関心のある方はぜひお読みください。
佐藤優 2026.10.22
誰でも

なぜ、Kindleダイレクトパブリシングで出すのか

 商業出版では出しにくい本を、Kindleダイレクトパブリシング(KDP)で出すことにしました。

 書名は、『初学者でもわかる「法の支配」の正体――赤根智子ICC所長への制裁から、国際法・戦争・日米同盟を考える』です。

 商業出版では、企画の内容に加えて、刊行時期や想定する読者層など、さまざまな条件を考える必要があります。今回は、このテーマを一冊にまとめ、関心のある読者に直接届ける方法として、KDPを選びました。

 Kindle版は600円、紙のペーパーバック版は1000円です。電子書籍でも紙の本でも、ご自身の読みやすい形で手に取っていただけます。

正しいルールがあっても、実行されるとは限らない

 国際政治のニュースでは、「法の支配」という言葉を頻繁に目にします。しかし、ルールが存在することと、そのルールを実際に執行できることは別です。

 本書では、赤根智子・国際刑事裁判所(ICC)所長への米国制裁を入り口に、この問題を考えます。

 ICCは独自の警察を持っていません。逮捕状を出しても、その執行には各国の協力が必要です。法に基づく判断が示されても、それだけで国家や個人を動かせるわけではない。ここに、国際法と国家主権、そして力の関係を考える手がかりがあります。

 ICCの仕組みや国連との違いを押さえながら、プーチン大統領、ネタニヤフ首相、バシール元大統領への逮捕状をめぐる問題を読み解きます。

責任の追及と、戦争を終わらせる外交

 戦争犯罪の責任を問うことは重要です。同時に、戦争を終わらせ、これ以上の犠牲を防ぐことも切実な課題です。

 ところが、責任の追及と和平の実現は、常に同じ方向に進むとは限りません。司法の判断と外交交渉が緊張関係に立つとき、何を考慮し、どのような選択をするべきなのか。本書では、この難しさにも目を向けています。

 法の理念を語るだけでは、現実の問題は解決できません。しかし、力がものをいう世界だから法は無意味だ、と片づけることもできません。理念を現実に生かすために、外交が果たす役割を考える必要があります。

米国への批判と、ICCへの評価を分けて考える

 本書で意識したのは、異なる判断を一つにまとめてしまわないことです。

 米国による制裁を批判することと、ICCの判断を無条件に支持することは別です。また、日本が赤根氏を支援することと、日米同盟を維持することを、初めから両立不可能なものとして扱うべきでもありません。

 複数の課題を抱えながら、どのように国益と原則を守るのか。難しい条件の下で両立の道を探ることに、外交の仕事があります。

 単純な善悪や、どちらか一方を選ぶ議論にとどまらず、制度の役割と限界を具体的に検討したいと考えました。

初学者が、自分の頭で国際ニュースを読むために

 本書は、国際法を専門に学んだことのない方にも読み進めていただけるように構成しました。用語解説や章ごとの整理に加え、二十の質問による復習も設けています。

 誰がルールを作り、誰が同意し、誰が実際に動かすのか。この問いを持つことで、「法の支配」という言葉の背後にある問題が見えてきます。

 国際ニュースを自分の頭で考えたい方、国際法と現実の政治の関係を基礎から理解したい方に、読んでいただきたい一冊です。関心のある読者は、ぜひ手に取ってください。

佐藤優 著

『初学者でもわかる「法の支配」の正体――赤根智子ICC所長への制裁から、国際法・戦争・日米同盟を考える』

Kindle版:600円

ペーパーバック版:1000円

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