ネタニヤフ氏の交渉力を国家の安定へ――過半数割れ後の現実主義を考える
与党陣営の過半数割れは、ネタニヤフ氏への重い審判です。しかし、多党制では選挙後の合意形成も指導力の一部です。中道との協力を探る現実主義に注目し、その経験と交渉力を国家の安定へ生かす可能性も考えます。
佐藤優
2026.11.04
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過半数割れと退陣は同じではありません
10月29日付の朝日新聞は、27日に投開票されたイスラエル総選挙で、ネタニヤフ首相を支える与党側陣営が過半数を割り込む見通しになったと報じました。他方、対抗する野党陣営も過半数には届かず、政権の行方は連立交渉に委ねられています。
この結果がネタニヤフ氏にとって厳しいものであることは、認めなければなりません。2023年10月7日の奇襲を防げなかった責任を、その後の軍事的成果だけで解消することはできません。有権者が政権のあり方を問い直したことには、重みがあります。
ただし、与党陣営が過半数を失ったことと、ネタニヤフ氏が政権を担う可能性がなくなったことは別です。
イスラエルのような多党制では、有権者の選択によって生まれた議席構成を前提に、複数の政党が交渉し、政府をつくります。選挙後に政策の接点を探り、過半数の支持をまとめることも、政治家に求められる重要な仕事です。